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2017/11/24

創立記念日

Tweet ThisSend to Facebook | by:H.nakata

校長室にて
 今日は、徳島県立鳴門渦潮高等学校の6回目の創立記念日です。
 本校は徳島県立鳴門第一高等学校と鳴門市立鳴門工業高等学校の2校が再編・統合し、平成24年に四国で唯一のスポーツ科学科、県内で一番多い系列を持つ総合学科を設置する高等学校として開校しました。そして、鳴門渦潮高等学校となり、今年で6年目を迎えました。前身の鳴門第一高校からは106年目、鳴門工業高校からは、56年目を迎えることになります。両校の歴史と伝統を継承し、先輩方の思いを繋ぎ、融合・統合してきました。本校の校訓「自主・至誠・躍進」の「自主」は、鳴門第一高校から、「至誠」は鳴門工業高校から受け継いだものです。


 鳴門第一高校の歴史を振り返ると、大正2年板野郡立実科高等女学校として創立された徳島県立撫養高等女学校の流れと、大正12年に撫養商業補習学校を始まりとする徳島県立撫養商業学校の流れが、昭和24年の高等学校再編成により統合され徳島県撫養高等学校となりました。その後、昭和46年に徳島県立鳴門商業高等学校と校名が変わり、平成5年には国際教養科を新設した徳島県立鳴門第一高等学校となり、6年前より、鳴門市立鳴門工業高校と統合になり、現在の鳴門渦潮高等学校となりました。撫養キャンパスの門の横にある土塀は開校当時から残る唯一の建造物です。そして当時の校歌にも出てくる「ヒマラヤ杉」も歴史を物語っています。幾多の校名変更と長い伝統の中で県内外に、優秀な人材を送り出してきました。


 鳴門工業高校は、昭和38年に機械科と工業化学科を持つ鳴門市立鳴門工業高校としてスタートし、その後、時代のニーズに応じて情報技術科、建築科等が設置されました。高度経済成長の中で、日本人の強みである「ものずくり」の大きな期待に答え、有為な人材を多く輩出してきました。当時の校歌には「工業立国の使命をおびて」で始まる歌詞を懐かしむ先輩諸氏も多くおいでます。平成24年に、鳴門市立の高校からの県立に移管と併せて統合・再編された鳴門渦潮高校は鳴門市立工業高校の歴史と伝統も引き継ぎ、新しい学校としての使命も果たすとともに前進・成長しているところです。


 鳴門渦潮高校は、今、充実した教育環境の中で、スポーツのリーディングハイスクールとしてスポーツを通じた人材育成を図る「スポーツ科学科」、また、地域に根ざした地域に愛される社会に貢献できる人材を育成する「総合学科」として、県民の期待に応え充実・発展していかなければなりません。本館管理棟や現在工事中の防潮堤等の施設を有効活用する地域防災の拠点としても使命を果たさねばなりません。皆さん一人ひとりが、我々教職員や先輩たちと切磋琢磨しながら、この鳴門渦潮高校でのいろいろな経験や交流を通じて「勇気ある挑戦」を続けることで、大きく成長していくことを切に願っています。
 
 来年度中には、憩いの広場としての大中小の植栽やベンチ等を整える外構工事、学校の回りの擁壁(防潮堤)工事、野球場及び周辺工事やトレーニングセンター前の多目的施設整備等が終えると施設の環境整備はすべて終了します。環境だけが整っても、皆さん一人ひとりの心身両面の成熟・成長が無ければ学校で学ぶ意味がありません。これからも惜しまぬ日々の努力を期待しています。
 
 さて、今日は、この創立記念日の機会に、この言葉を覚えておいてください。
「陰徳(いんとく)」と読みます。(額縁に入れた字を見せながら)

 今は、とかく自分のことをアピールしたり、自己主張してパフォーマンスする表現力や見せ方が優先されている風潮があるように思います。皆さんの人間関係の中でも、互いに見えるところをしっかり見せようという意識が強いような気がします。その中で、信頼できる人と一緒に仕事をしたいとか、信用できる人を探してもがいている人も多いのではないでしょうか。大人にも、そのような傾向があるように思います。このような時代だからこそ、「陰徳」の精神が必要とされていると感じます。


 この言葉は、サントリーの創業者「鳥井信治郎」氏が、終生、社会人として、人として大事にしていたそうです。意味は、人に知られないかたち(陰)で善行(徳のあること)をするという意味です。困った人がいれば助けるのを当然と考える。人が喜ぶことをすることは自分も嬉しいことであると考え行動する。そのような「徳」は、黙って密かにするものであり、礼を言われるもでもない。礼を言われたり感謝されることを目的にすれば、それは真の意味で「徳」ではないということです。その源は、信じる心にあり、一昔前であれば、善いことも悪いこともお天道様が見ていると言うことでしょうか。事実、今の混沌としたこの時代でも、善い行いも悪い行いも、すぐにわからなくても必ずいつかの時に、人は認め、わかるという真理はあります。


 「陰徳」のある人は、将来を通じて心底信頼されるということを、昔から近江商人や大坂の船場の人たちに長く引き継がれてきたようです。先日、昨年の記念講演会で講演していただいた東京で大手スーパーを経営している皆さんの大先輩の出村氏も、経営の中で「陰徳」を特に大切にされていることを話されていました。私たちも、今の時代に忘れかけた大事な精神であると思いますので、是非、意識してこれから生活してほしいと思います。

 中々できないことですが、実は皆さんの中でその行為を自然にしている人たちもいます。6年前の渦潮高校創立時より今もずっと、週初めの早朝より、学校のいたるところで一人ひとりが、誰に見られるとか見てほしいでなく、黙々と清掃してくれている皆さんの仲間がいます。これこそが、「陰徳」であると思いました。本当に心が洗われます。そのほかにも、人のために、人が喜ぶために善い行いを実践している人はいます。どうか、これからも、そのような素直な気持ちと行動を大切に養い、この学舎を巣立っていってほしいと思います。


 最後に、今日の創立記念日にあたり、「陰徳」という言葉をもう一度かみしめ、、私や回りの大人が見えていないところでも、「陰徳」が行われているであろう事に感謝して式辞と致します。

                    平成29年11月17日
                          徳島県立鳴門渦潮高等学校長                                           中田  寛志


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