「生命(いのち)の安全教育」に関する講演会を開催
2026年7月29日 22時37分7月15日(水)、本校にて教職員および全校生徒を対象とした「生命(いのち)の安全教育」に関する講演会を開催いたしました。
講師には弁護士の 永本 能子 氏 をお招きし、昨今大きな社会問題となっている性暴力や性犯罪について、「加害者・被害者・傍観者にならない」ために必要な知識や心構えをご講演いただきました。
昨今、大きな社会問題となっている性暴力や性犯罪。これらを「加害者にも、被害者にも、傍観者にもならない」ために、学校現場でどのような教育や取り組みが必要とされているのか――。今回は、その背景や現状、そして多様化する性被害の実態について深く踏み込んだ講義が行われました。
「生命(いのち)の安全教育」が求められる背景
「生命(いのち)の安全教育」という言葉は、近年の政府方針や文部科学省の取り組みを通じて急速に認知されるようになりました。
講義では、2020年に内閣府から示された「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が紹介されました。この方針では、「性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないよう、学校教育がより大きな役割を果たしていく必要がある」と明記されています。これを受け、文部科学省でも手引きが作成され、全国的に取り組みが広がっています。
徳島県内においても、阿南市や上板町、阿波市などの小中学校での実施を経て、今年度は渦潮高校が指定校(モデル校)として取り組みを推進しています。
日常に潜む多様な「性暴力」の実態
講演の中では、「性暴力・性犯罪」とは具体的にどのようなものを指すのかについて、参加者が手元の用紙に書き出すワークショップを交えながら解説が進められました。
直接的な体に触れる行為だけでなく、触れない行為、さらにはインターネットを介した悪質なトラブルまで、性暴力の形態は多岐にわたります。
-
直接体に触れる行為
-
不同意性交、不同意わいせつ、痴漢、無理やり抱きつく・体を触る行為 など
-
-
直接触れない行為
-
わいせつな画像や動画を見せる、性的からかい・噂流し、容姿に対する侮辱 など
-
-
SNS・インターネット上のトラブル
-
性的画像の送信要求(セクストーション)、同意のない画像共有(リベンジポルノ)、AIを用いた画像捏造 など
-
-
身近な関係性における被害
-
デートDV、ストーカー行為、グルーミング(手なずけ行為)、性的虐待 など
-
講師からは、「本人が望んでいない性的な言動や行為は、すべて性暴力になり得る」という重要な共通認識が示されました。
深刻化するDV・ストーカー被害と子どもたちの現状
講義後半では、警察庁などの統計データをもとに、DV(配偶者・パートナーからの暴力)やストーカー被害の現状が共有されました。
-
DV・デートDVの深刻化 相談件数は年々増加傾向にあり、潜在的な被害(暗数)も含めると膨大な数に上ると見られています。中高生や10代~20代といった若年層における「デートDV」被害も深刻な問題です。
-
ストーカー被害の若年化 ストーカーの相談・被害件数も高い水準で推移しており、被害者の多くが10代・20代の若年層です。交際相手や元交際相手、近しい知人からの被害が大半を占めています。
-
子どもに対する性被害 18歳未満の子どもが被害に遭うケースでは、「知らない人」からよりも「知っている人・身近な人」からの被害が多いというショッキングなデータも紹介されました。また、被害者の年齢が0〜12歳の幼少期に及ぶケースもあり、自ら抵抗や訴えができない子どもたちをどう守るかが大きな課題となっています。
私たちが今、できること
講演の最後には、性被害や性暴力の問題は決して「他人事」ではなく、誰もが当事者やその身近な存在になり得るという認識を持つことの大切さが語られました。
被害に直面したときに一人で抱え込まず、信頼できる大人や専門の相談機関へつなぐこと。そして、自分や相手の「からだ」と「心」の権利を尊重し合う関係性を築くこと――。
渦潮高校での今回の講演会は、生徒や教職員一人ひとりが「生命の安全教育」の重要性を深く認識し、今後の身を守る行動や支援について考える貴重な機会となりました。